復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「失礼します。ルイーズお嬢様。旦那様がお呼びです」

 迎えが来た。

「お母様お迎えに行ってくるわね。殿下に伝言はある?」

「あとでご挨拶に伺うわ」

「はい」



 玄関前に着いて間もなく、視線を落として迎えるルイーズの前に、父と並んで入ってくるアレクサンドの影が伸びてくる。

「娘のルイーズでございます」

 一歩前にでたルイーズが「グロワール帝国に絶え間なきなき栄光を」と声を出した。

 皇族に対する挨拶でる。皇太子ではなくなったとはいえ、帝国を代表する存在に変わりはない。

「アレクサンド・ド・グロワールだ」

 顔を上げてから失礼にならないよう、視線はアレクサンドの首元に置く。

 それでも胸がドキドキと高鳴った。

 もしかしたら覗き見ていたのを指摘されるのではないかと、緊張してうつむいていると、父が『ああ』と気づかわし気に声を上げた。

 アレクサンドがマリィの姿を探したのだろう。

「マリィは病に臥せっておりまして」

 ルイーズもマリィの伝言をそのまま伝えた。

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