復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 神殿からもらった聖水のおかげで痛みは和らげたが、衰弱は止められなかった。

 聖女の力は自分には使えないばかりでなく、寿命なら、それはどんな神聖力をもってしても救えない。

 父は自分のせいだと涙を流したが、母は寿命なのだと父を慰めていた。

(私にも聖女の力があれば、お母様を助けられたかもしれないのに)

 悲しいことにルイーズにはなんの力もなかったし、あったとしても寿命は変えられないのである。



 いったん部屋に案内し、晩餐となった。

 騎士たちには広間を開放し、賑やかな宴会となったが、公爵とアレクサンド、そしてルイーズは別の部屋で静かに晩餐となった。

 その席にはマリィも出席した。

 聖水を飲めば数時間は体調が回復する。

 立っていられなくても椅子に座っている分には大丈夫だからと。

 病に侵され痩てしまった分、美しさに磨きがかかり、凄みがあるようにさえ見えた。

 母、マリィは帝国一の美女と称された美貌の持ち主だ。多くの貴公子が求婚したという。

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