復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
今日の朝食はお客様を招いて部屋でとるという。
(昨夜お部屋にいたお客様かしら……)
あれは誰なのか。
これまでも一日おきの頻度で客が来ているが、いつもなら前もって名前を教えてもらっているが、夕べの客は名前を聞いていない。
年齢は四十代か。
カンタンと同じくらいの貴族の男性で、ルルと目が合ったとき、驚いたような素振りを見せた。
と、そこにピエールが朝食に現れた。
「ピエール様。閣下のお客様はなんとおっしゃる方なんですか?」
「うーん?」
なにやら歯切れが悪い。
「あ、いえ大丈夫です」
「ごめんね。僕はまだそのお客様と会っていないんだ」
(なにがあったのかしら)
夕べから朝と、ピエールやマロの動きが活発だ。
ルルは知らないが、昨夜ゴーティエ公爵が部屋を出てすぐ、大公は護衛騎士のマロを呼び至急カメオを探すよう伝えていた。