復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「私には行き場がなかったし、ウサポンは言葉こそ通じなかったけど、優しくて。くっついていれば温かいし、木の実を一緒に食べて冬を越せました」

 父の手を握りながら、思い出した通りに話した。

「お母様のネックレスは、沢に水を汲みに行ったときに落としてしまったの。ネックレスを探しますいるうちに凶暴な魔獣に見つかってしまって、慌てて洞窟に戻ったんですが、途中別の魔獣にも遭遇して、気を失って」

 それから先は発見された通りだ。

「洞窟で気を失うまで、髪の色は変わっていなかったです」

 大公は「やはり魔獣の血で染まったんだな」と納得したように頷く。

「魔獣の血で魔法薬ができるのは知ってますが。こんな現象は聞いたことがない。ルルは大丈夫なんでしょうか」

 心配そうな父に、大公は「心配ないですよ」と微笑む。

「この領地でしかいない珍しい魔獣なんですが、血液は無害だとわかっています」

 ルルは大公の言葉に納得した。

 彼は誰よりも魔獣に詳しいのだから。

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