復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「この子の髪と瞳は戻らないんでしょうか?」

「いや、恐らくだが少しずつ戻っているはずです。カンタンに確認した感じでも、ルルの髪は半年前は今より濃い緑だったらしいので」

「そうですか」

 だが、もとの色に戻ったとして、それが今の自分にとっていいのか悪いのかわからない。

 今のルルはあくまでもルルだ。

 ルイーズ・ゴーティエは宮殿にいることになっている。

「となると、宮殿にいるルイーズは偽者で間違いないな。おそらく似ている者を探して連れてきたんだろう」

「そうなりますね」

 ルルは初めて、宮殿にルイーズを名乗る女性がいると聞かされた。

 その女性の未来を思いゾッとした。

「ディートリヒは恐ろしい人です。その女性はきっと平民でしょうし、必要がなくなれば殺されるに違いありません」

 彼は、平民を人だと思っていない。

 補充のきく労働力としてしか見ていないのである。

 謁見の間に平民を招いた後は、顔を歪めて『臭い』と言い、大広間の消毒までさせていた。

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