復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

「侍女たちが、あれこれうるさいんですよぉ。陛下からキツく叱ってやってください」

「ああ、わかった。侍女を変えよう」

 ルイーズはキャッキャと喜んで、ディートリヒの腕にしがみついた。

 悪寒が走ったが、顔には出さない。

 これほど似ている女は二度と見つけられない。

 ゴーティエ公爵に替え玉を納得させ、その代わりに名誉の回復を約束すればすべて終わる。ほんの一年ほどの辛抱だ。

 この下品な替え玉は、事故に見せかけ始末すればいい。

 とにかくそれまでは、大事なコマである。

 偽者ルイーズに付き合い庭園を散歩してご機嫌を取った。

 宝石を与え、ときにわがままを聞くだけで、こうも簡単におとなしくなるというのに。なぜそんな簡単なことができないのか。

 侍女たちの無能ぶりにも腹が立つ。

 皇后宮をでると、侍女たちを怒鳴りつけた。

「いったいあれはなんだ!」

「申し訳ありません、陛下」

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