復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
西国イデアルの公女、ルル・ド・リュミエール。
新しくできたルルの身分だ。
(閣下の考えることはすごいわ)
まさか西国の公女に仕立て上げられるとは、夢にも思わなかった。
聞けばリュミエール公は戦争中なんどか顔を合わせていて、今回戦争が終結したのも彼の活躍があったからという。
偶然、リュミエール公の髪色がルルと同じだったのもある。
戦後処理に烏城を訪れていた彼に、結婚したい恋人に身分がほしいと大公が相談し、リュミエール公は笑って快諾してくれたそうだ。
西国の公女が国境で魔獣に襲われ記憶を無くしていた、大公専属侍女を務めている間に恋が芽生え、リュミエール公が烏城に来て偶然素性がわかった、という筋書きを作ったのである。
リュミエール公自身がそう宣言したのだから、誰も疑いようがない。
いずれにしろ西国に本当にそういう公女がいるかどうかまで、帝国ではアレクサンドを除いて調べようがないのである。