復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 この計画を聞かされたとき、ルルは唖然とするばかりだったが、父、ゴーティエ公爵はいきなり喜んだ。

『これ以上の安心はないぞ、ルル。大公夫人なら皇帝もおいそれとは手を出せない』

 大公は『これは俺の復讐なんだ』と言った。

『協力してくれないか? ルル。俺の復讐に』

 後でふたりきりになったとき、大公はこっそりと耳打ちした。

『嫌とは言わせないぞ? お前は俺が大好きなんだもんな』

 恥ずかしさにカッと熱くなって、つい大公を叩いてしまって。

 でも、大公は驚きもせず楽しそうに笑った。

『お、意外と力強いパンチだな』

 あのときの笑顔で、ルルは大公夫人になろうと決めたのである。

(閣下と一緒なら、安心して自分らしくいられるから)

 たとえ大公が復讐を遂げる間の妻でもいい。十分幸せだと心から思った。



 結婚式は領地にある小さな神殿でささやかに執り行われた。

 ルルが実は公女であり、しかも大公夫人になると同時に公表され、城内は大騒ぎになった。

< 151 / 202 >

この作品をシェア

pagetop