復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「お父様、見届けてくれてありがとう」

 アレクサンドがルルのために用意したドレスは、彼の母の形見だった。

 そんな大切なドレスを『ぜひ、君に着てほしい』と言ってくれたのである。

 帝国では見られない、キラキラ輝く不思議なレース。

 バージンロードはリュミエール公と歩いたが、父にはしっかりと見守ってもらえた。

 地獄の日々を乗り越え、晴れの日を親子で迎える。

 それがなによりもうれしい。

「マリィも空の上で喜んでいるよ。すべて大公のおかげだ」

「そうね。本当にそうよ」

 アレクサンドも新郎らしく白い衣装を着ていた。

 なにより驚いたのは彼の黄金の髪である。

 ルイーズの知るアレクサンドに戻っていた。

 公爵邸に立ち寄ったときも、ルイーズのデピュタントの舞踏会も、彼は黄金の髪をしていたから。

 皆も知っていたようだが、初めて目にする人も多かったらしい。アレクサンドの登場とともに会場は湧き上がった。

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