復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 それはそうだろう。黄金の髪の彼は、皆が良く知る初代皇帝の肖像画にそっくりだったから。



 誓いのキスを本当にしたのには驚いたけれど、もっと驚いたのは、そのまま抱き上げられたことだ。

 ルルのウエストを持ち、アレクサンドは高々と持ち上げた。

 歓声が上がり、花びらが舞い。

 こんなに幸せな花嫁はいないと思う。

 式を見届けた父も感激の涙を流し、式が終わると安心したようにその足で密かに帝都に戻った。

 神殿から烏城まで、急遽行われたパレードは、それはもう大騒ぎで、領地中の花が飛び回ったようだった。

「グロワールに栄光を!」

 誰とはなしに叫ばれた声が、うねりのように大合唱になって響き渡った。



 そして、契約結婚でも初夜は平等にくる――。

 ルルが鏡を覗くと、自分自身の瞳と視線がかち合った。

 緊張が顔にでている。

 どきどきしているせいか、瞳が潤んで見えた。

 気持ちを落ち着けようと大きく息を吸う。

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