復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 階段を上りながら、アレクサンドが「男除けも入れてもらったぞ」と、ニヤリと笑う。

「え? それはどういう」

 ルルの不快感に反応して、ブレスレットから強い静電気が相手に飛ぶという。

「しかも、相手にはなにが起きたかわからない。どうだ、凄いだろ?」

「それじゃ――」

 階段を上りきったところで、思い切りアレクサンドに抱きついてみた。

「ビリビリきましたか?」

「ん? こいつめ」

 当然ながらアレクサンドには不快感を感じないらしい。

 逃げて追いかけられて、あははと笑い合った。





***





 午後三時少し前、はやる気持ちを抑えながら外を見ていると、一台の馬車が入ってくる。

(あ、来たわ!)

 懐かしい、ルルがよく知る公爵家の紋章をつけた白い馬車だ。

 ディートリヒとの会談が無事終わったとは聞いていたが、それでも心配だった。父が心配かけまいと嘘をついたかもしれなかったから。

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