復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
『なぜわたしが贈ったドレスや宝石を身につけなかった?』
謁見の間で平民の代表の陳情を聴く行事の際、ルイーズは上質でありながらも華美にならないドレスに最低限の宝石を身につけて出席した。
なにも知らず『飢える民の気持ちを分かち合いたいと思いました』と答えると、彼は冷ややかに微笑んだ。
『なるほど ……。素晴らしい考えだ』
そして『用事を思い出した』と冷ややかに告げ、席を立ち出て行ったのである。
怪訝に思いながらも、ルイーズはそのまま食事を続けた。
褒めるにはあまりにも冷たい表情と声に不安になったが、自分が間違っているとは思わなかった。民の話を聴くときは、彼らが本音を語れるよう民の目線で、というのが父の教えである。
侍女には止められたが、ディートリヒに贈られたドレスや宝石は舞踏会などで使うものだと思いこんでいたから押し切ったのだ。
だが、部屋に戻るときに現れた専属侍女が全員、殴られたように頬を腫らしていた。
『ど、どうしたの?』
謁見の間で平民の代表の陳情を聴く行事の際、ルイーズは上質でありながらも華美にならないドレスに最低限の宝石を身につけて出席した。
なにも知らず『飢える民の気持ちを分かち合いたいと思いました』と答えると、彼は冷ややかに微笑んだ。
『なるほど ……。素晴らしい考えだ』
そして『用事を思い出した』と冷ややかに告げ、席を立ち出て行ったのである。
怪訝に思いながらも、ルイーズはそのまま食事を続けた。
褒めるにはあまりにも冷たい表情と声に不安になったが、自分が間違っているとは思わなかった。民の話を聴くときは、彼らが本音を語れるよう民の目線で、というのが父の教えである。
侍女には止められたが、ディートリヒに贈られたドレスや宝石は舞踏会などで使うものだと思いこんでいたから押し切ったのだ。
だが、部屋に戻るときに現れた専属侍女が全員、殴られたように頬を腫らしていた。
『ど、どうしたの?』