復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「そしてディートリヒよ。父上の遺言を伝えよう。父上は俺に皇帝になれと言い遺した。戦争を終結させたあかつきには、勝利をもって玉座につけとな」
ディートリヒが鬼の形相で叫ぶ。
「血迷ったか! はやくあいつを黙らせろ!」
近衛兵は隊長を見つめ、戸惑ったように動けない。
隊長はまっすぐ前を見たまま動かなかった。
「私が証人です」
今度はモラン公爵が前へ出た。
手には紙が掲げられている。
前皇帝の直筆の遺言書。皇帝の印璽がはっきりと見えた。
「陛下から私が預かっていた。大公閣下が戦地から戻ったときに渡す約束だった」
静まり返る会場に高らかな声が響く。
「近衛兵、あの反逆者を捕らえよ!」
言い放ったのは、ディートリヒではなく、アレクサンドだ。
「はっ!」
隊長が剣を振りかざし、近衛兵はいっせいにディートリヒを振り向いて、彼を捕らえた。
ディートリヒが鬼の形相で叫ぶ。
「血迷ったか! はやくあいつを黙らせろ!」
近衛兵は隊長を見つめ、戸惑ったように動けない。
隊長はまっすぐ前を見たまま動かなかった。
「私が証人です」
今度はモラン公爵が前へ出た。
手には紙が掲げられている。
前皇帝の直筆の遺言書。皇帝の印璽がはっきりと見えた。
「陛下から私が預かっていた。大公閣下が戦地から戻ったときに渡す約束だった」
静まり返る会場に高らかな声が響く。
「近衛兵、あの反逆者を捕らえよ!」
言い放ったのは、ディートリヒではなく、アレクサンドだ。
「はっ!」
隊長が剣を振りかざし、近衛兵はいっせいにディートリヒを振り向いて、彼を捕らえた。