復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 二百年の歴史を経てもなお白く輝く宮殿のバルコニーに皇帝アレクサンドが立ち、黄金の髪を眩しく輝かせる。

 そして隣には皇后となったルルがいた。

 うねる歓声と熱気にあてられ、心臓が高鳴り目眩がしそうだ。

「ルル、大丈夫か?」

 アレクサンドがルルの腰に手を回す。

「大丈夫です」

 誰からともなく「皇帝陛下ばんざーい」と合唱が始まった。

 それから「皇后陛下ばんざーい」という声が続く。

 人々が大きく振る手にルイーズも応える。

「喜んでもらえてよかったな」

「ええ」



 建国記念の舞踏会で、ディートリヒと偽者ルイーズは近衛兵に連れ出され、アレクサンドが玉座の前に立った。

 復讐は成し遂げられたのだ。

 ルルはその場から後ろに下がろとしたが、アレクサンドに呼び止められた。

『ルイーズ、ここへ』

 だが、隣に行くわけにはいかない。

 首を振って背中を向けると、モラン公爵が声にあげた。

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