復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
『ルイーズ嬢よ、あなたはディートリヒの策略によって大変な苦境に陥った。だが、そのすべてを乗り越えてここに立っていらっしゃる』

 よく通る声が、大広間に響き渡った。

『そんなあなただからこそ、我々は帝国の母になっていただきたい』

 モラン公爵は『そうではないか? 諸君』とぐるりと見回したのである。

 拍手が沸き起こり、どの貴族にも笑顔が浮かんでいた。

 泣いている令嬢もいて、ルルが親しかった女性たちはかけつけるようにルルの周り集まり、励ましてくれたのだ。

『ルル、さあ、陛下のもとへ行って!』
『ルイーズ、大丈夫よルイーズ』

 ずっと我慢し続けたのに、ついに涙が溢れた。

『で、でも私は……』

 それでも動けなかった。
 流されちゃいけないと、自分に言い聞かせた。

 だがアレクサンドが、ルルのもとにきて彼女を抱き上げたのである。

 ルルを抱いたまま玉座に立ち、アレクサンドは宣言した。

『グロワールに栄光あれ!』



 あの日から、夢を見ているような気がする。

 甘い、甘い夢だ。

「なあルル、これが終わったら烏城を宮殿にするか?」

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