復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「残念だが、君の寝室から件の毒が発見された。君が君の父上に頼んで、毒を手に入れたという証拠もの」

「そ、そんな……。ありえません! 父も無実です! 誰かが」

 とっさに駆け寄ろうとして足枷に阻まれ、床に倒れこむ。

「残念だよ、ルイーズ」

 鉄格子の前にしゃがみ込んだディートリヒが薄い笑みを浮かべる。

 凍りつくような冷たい瞳で。

「いくら僕に早く皇帝になってほしいからって。あれはよくない」

 ルイーズの胸は凍りついた。

 いったい彼は、なにを言っているのか。

「そんなに早く皇后になりたかったのかい?」

「殿下?……なにを」

 意味が、まったくわからない。

 戸惑い、唖然とするルイーズを見下ろし、意味ありげにニヤリと笑ったディートリヒは、勢いよく立ち上がった。

「子どもができたら、僕のことも毒殺するつもりだったんだろう? かわいい顔をして恐ろしい女だ」

 愕然とした。

< 4 / 202 >

この作品をシェア

pagetop