復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 精霊や妖精の地を荒らした人間への報復だというが、実際に魔獣のいる山を奥へ進むと美しい景色が広がって入るのだそうだ。

 魔獣がいなければいい観光地になったはず。

 天敵はわかるが、宝とはどういう意味か?

「心臓からは魔石がとれるんだ。血液は薬や魔法薬。皮も肉も魔獣の体はほぼすべて貴重品だ。この領地は魔獣のおかげで潤っているのだからな」

 なるほど。魔獣の不思議な体を考えれば、魔獣は精霊や妖精が作ったというのも納得できる気がした。

「魔獣も草食系なら結構かわいいしな」

「えっ、かわいい魔獣もいるのですか?」

 大公はクスッと笑う。

「ルルが発見された巣はウサポンという灰色の大きなウサギみたいな見た目の魔獣だ。攻撃されない限り人は襲わない。ルルは恐らくウサポンにくっついていたのかもしれないな」

「ウサポン……。そうなんですね」

 発見された季節は初春でまだ肌寒かったというから、どうやって寒さをしのでいたのかと思っていたが、なるほど大きなウサギとくっついていたのか。

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