復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 灰色の大きなウサギを想像し、ワクワクした。

「そんな魔獣がいるなんて」

「俺たちが倒す魔獣は攻撃性の高い肉食な奴らだ。ウサポンみたいな草食系は臆病だから山の奥にしかいないんだ」

 大公は山の全域を把握していて、誰よりも魔獣に詳しいと聞く。

 それならば、思い切って聞いてみた。

「魔獣の血は特殊なんですか?」

 山の洞窟で発見されたときのルルの服装は、粗末なワンピースだった。

 青い色をした魔獣の血を全身に浴びていて、どんなに洗っても青く変色したまま、ワンピースはもとの色には戻らなかったのである。

 ずっと、それが気になっていた。

「薬にも毒にもなるし、魔獣の種類によるし、使い方によってもいろいろだ」

「あの……、青い色の血は」

「ルルが浴びていた血なら、体には無害だ。染料には使われる。一度染まったら落ちない」

 青い色の血をした魔獣はカエルのお化けのような姿の魔獣と聞いてぞっとしたが、それはそれ。無害と聞いて心が晴れた。

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