復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
万が一魔獣と遭遇したときを考えたのか、馬車の中は鉄格子がはめられている。
公爵は自慢げに語っていたが、実物を見たアレクサンドは苦笑を禁じえなかった。
あれではまるで、豪奢な護送車だ。
そこまで怯えながら来る必要もないだろうに。
「衛兵はともかく、騎士の動きは十分注意するよう指示してあるが、特に本城には無闇に入らせるなよ」
「承知しました」
烏城の南にある塔は見晴らしがよく豪華な作りの客間になっている。
公爵と騎士のうちの五人はそこに通した。本城とは一本の廊下でしか繋がっていないため監視がしやすい。
残りの騎士と衛兵は、街の中心部にあるホテルにいる。すぐ近くに花街や娯楽施設があり、やつらを遊び呆けさせるよう支配人に伝えてあった。
「今晩にでもキャバレーに連れて行ってやるか。公爵があきれるほど、戦争狂の自堕落な様を見せておくさ」
一週間後には、安心して帝都に帰るだろう。
「それから、こちらお手紙が届いております」
公爵は自慢げに語っていたが、実物を見たアレクサンドは苦笑を禁じえなかった。
あれではまるで、豪奢な護送車だ。
そこまで怯えながら来る必要もないだろうに。
「衛兵はともかく、騎士の動きは十分注意するよう指示してあるが、特に本城には無闇に入らせるなよ」
「承知しました」
烏城の南にある塔は見晴らしがよく豪華な作りの客間になっている。
公爵と騎士のうちの五人はそこに通した。本城とは一本の廊下でしか繋がっていないため監視がしやすい。
残りの騎士と衛兵は、街の中心部にあるホテルにいる。すぐ近くに花街や娯楽施設があり、やつらを遊び呆けさせるよう支配人に伝えてあった。
「今晩にでもキャバレーに連れて行ってやるか。公爵があきれるほど、戦争狂の自堕落な様を見せておくさ」
一週間後には、安心して帝都に帰るだろう。
「それから、こちらお手紙が届いております」