復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
客が来ない限り、アレクサンドは昼食を軽く済ませるのが習慣で、今朝は騎士団の練習に付き合ったためにしっかりしたものを頼んでいた。
肉の焼けた香ばしい匂いに食欲がそそられてもよさそうだが、いまひとつ気持ちが盛り上がらない。
「閣下? 具合でも悪いのですか?」
ぼんやりしていたせいか、ルルが心配そうに首を傾げて、伺うように見つめてくる。
「いや、そんなことはない。旨そうだな」
席を立ち、ソファーに向かいながら、カートの上でコーヒーを淹れ始めるルルを見た。
彼女が専属の侍女になって一週間。
さっきまでルイーズについて考えていたせいか、ふとした瞬間、ルルに彼女の面影が重なる。
(やはり似ているような気がするが……)
背格好。雰囲気。もしかすると声も。
だが、アレクサンドがルイーズと会ったのは、彼女のデピュタントと公爵邸での二度きりだ。そのうち、彼女の声を聞いたのは公爵邸での挨拶だけ。
わずかな記憶ゆえ確証できない。
(本人であるはずがないんだ……)
肉の焼けた香ばしい匂いに食欲がそそられてもよさそうだが、いまひとつ気持ちが盛り上がらない。
「閣下? 具合でも悪いのですか?」
ぼんやりしていたせいか、ルルが心配そうに首を傾げて、伺うように見つめてくる。
「いや、そんなことはない。旨そうだな」
席を立ち、ソファーに向かいながら、カートの上でコーヒーを淹れ始めるルルを見た。
彼女が専属の侍女になって一週間。
さっきまでルイーズについて考えていたせいか、ふとした瞬間、ルルに彼女の面影が重なる。
(やはり似ているような気がするが……)
背格好。雰囲気。もしかすると声も。
だが、アレクサンドがルイーズと会ったのは、彼女のデピュタントと公爵邸での二度きりだ。そのうち、彼女の声を聞いたのは公爵邸での挨拶だけ。
わずかな記憶ゆえ確証できない。
(本人であるはずがないんだ……)