復讐は蜜の味 ～悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで～

「じゃあせっかくだ。食事中に領地民から集まった陳情書を読み上げてもらおうか」

「はい、わかりました！」

　胸の前で拳を握り、瞳を輝かせるルルに思わず笑った。

　早速立ち上がり、机の上にある陳情書の束をルルに渡す。

「すべて領地に住む民の陳情書だ。字が書けない者は神官や知人に頼んで書いてもらっているようだが、読みづらい字が多い。読める範囲でいいぞ。そこに座って読んでくれ」

　明るく返事をしたルルは、向かい側のソファーに腰を下ろし陳情書を読み始める。

「〝大公様、戦争の勝利おめでとうございます。お祝いに大公様にビールと店特製のチーズ入りソーセージを振る舞いたいので、ぜひ来てください！　お待ちしております〟以上です」

　ルルは、紙の後ろを確認したながら首を傾げる。

「名前も店名も、どこにも書いてないですね」

「二番通りの『山酒の店』だ。戦争に勝つたびに店主が送ってくる」

　なるほどと感心しながらルルは次の陳情書を読む。