復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~


 パンパンと花火の音がする。

 予定通り祭りが行われる合図だ。

「眩しい」

 窓から空を見上げたルルは、思わず目を細めた。

 今日は待ちに待った祭りの日。

 朝から空は青く晴れ渡っていて、賑わいが城の中まで伝わってくる。

 初代皇帝はドラゴンの化身といわれるだけあり、グロワール帝国にとってドラゴンは守り神だ。盛大に祝い、ドラゴンの祝福を受けて実り多き秋を向かる準備をするのだ。

 今日は烏城も人が少ない。

 侍女は午後三時で仕事は終わりにしてよいと、おふれがでた。

 時刻はもうすぐ三時。ルルも手にした乾いた洗濯物を片付けてしまえば、今日の仕事は終わりである。

 ワクワクと胸が踊った。

 夜の花火が楽しみなのはもちろんだが、昼は昼で帝都から来た大道芸人が、あちこちで芸を披露しているらしい。帝国外の様々な料理の出店が城の広場に並び、かつてない規模の祭だという。

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