復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「なるほど! それはありそうね。閣下も久しぶりに街を歩いてみたいんだわ」

「ネージュさんはどなたとお祭りに行くんですか?」

「私は彼とよ」

 彼女は交際している騎士がいる。

 戦争が終わったので年が明けたら結婚する予定なのだ。

「ルルも誘おうとしたのよねー。独身男はごろごろいるから、いい出会いがあるかもしれないし」

「出会いだなんて」

 頭を振ってルルはコロコロと笑った。

「なによ」

「自分が誰かもわからないのに、恋人なんて無理ですよ」

「またそんな。せっかくの美人がなに言ってるの。過去なんて関係ないわよ。前進あるのみ」

 明るいネージュと話していると、元気が出る。

「はい。がんばります」

 じゃあねとネージュを見送り、ルルも自分の部屋に行く。

 さあ、いよいよドラゴン祭だ。



 ***



 アレクサンドは窓際に立ち、賑わう街を見下ろしていた。

 天気もよく絶好の祭り日和である。

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