溺愛社長の2度目の恋
――これが採用メールをもらう、二日前の話だ。



メールをもらった翌日、私は再びSky End Companyを訪れていた。

「それで。
採用条件の確認、だったっけ?」

「はい」

天倉社長自らコーヒーを淹れてくれ、私の前に自分の分と一緒に置きながら座る。

「勤務時間は九時半から十八時まで。
休日は土日祝日と夏季、年末年始休暇あり。
あとは……」

「そういう話じゃなくてですね!」

ごく一般的なことを説明しだした社長を制する。

「じゃあ、どういう話?」

怪訝そうに彼が僅かに首を傾げる。
それが、四十のおじさんなのに可愛く見えた。

「あー、えっと。
これ、これはどういうことですか?」

ついそれで怯みそうになったが、これは重大問題なのだ。
バッグから携帯を取りだして操作し、問題のメールを見せる。

「この、【追加条件社長との婚姻】って」

「文字通りの意味だけど?」

またしても社長は、小首を傾げた。

「社長って天倉社長のことですよね?」

「そうだよ」

足を組み、彼はコーヒーを一口飲んだ。

「社長との婚姻って、私は天倉社長と結婚しないと採用してもらえない、ってことですか?」

「そうなるねー」

< 10 / 184 >

この作品をシェア

pagetop