溺愛社長の2度目の恋
「シャワー、浴びてくるかなー。
昨日は汗、掻いたし」

下に落ちていた下着を拾って穿き、檜垣さんがベッドを出ていく。

「夏音ちゃんはまだ寝てていいよ。
疲れてるだろ?
もう、昨晩は夏音ちゃんが情熱的で俺、年甲斐もなく頑張っちゃったからさ」

わざとらしく笑いながら彼が出ていき、ひとりになった。
瞬間、思いっきり布団を剥ぎ捨てる。

「……ない」

シーツは真っ白で汚れ――血の跡などなかった。
だったら、檜垣さんはふざけているだけで実際はそうじゃない?
それに酔い潰れていたからって、わからないものなんだろうか。

「うーっ」

しかしいくら考えたところで、そういう経験のない私にはわからなかった。


「もう目が覚めてるんなら、夏音ちゃんもシャワー浴びてきなよ。
昨日、滅茶苦茶汗掻いてるし、気持ち悪いだろ?」

「あっ、はい!
そう、します!」

うだうだ悩んでいたら檜垣さんが顔を出し、焦って返事をする。
浴室へ行き、鏡に映った自分の身体を見て言葉を失った。

「……なにこれ」

私に身体にはあちこち、赤い跡がついている。
これっていわゆる、……キスマークなんだろうな。

「ああ……」

軽いめまいを感じ、その場にしゃがみ込んだ。
必死に否定してきたが、やっぱり、そうなんだ。
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