溺愛社長の2度目の恋
これからはもっと、こうやって温かい料理をふたりで食べたいな。

「今日、よかったら片付けを手伝ってくれないかな」

「片付け、ですか……?」

つい、行儀悪く箸を咥えたまま聞いてしまう。

「うん。
深里の部屋を片付けようと思うんだ。
ずっとあのままにしておくわけにはいかないし。
あ、でも、仏壇は片付けないけどね」

後半、有史さんは申し訳なさそうだった。
それに、ううんと首を横に振る。

「無理に忘れなくていいんです。
それに、私が最初に好きになったのは、今でも深里さんを想い続けている有史さんだったんですから」

最初はそんな尊い彼を守りたいという不純な動機だった。
でも、彼の優しさを知り、その抱えている淋しさを理解し、愛おしくなった。

「夏音……。
ありがとう」

呟くように言った彼は、嬉しそうだった。

朝食の片付けが終わる頃、インターフォンが鳴った。

「僕が出るよ」

すぐに有史さんが応答に立つ。

「母さんだ。
嫌な予感しかしないな」

私も手を拭き、彼の後ろに立ってモニターをのぞき込む。
そこには有史さんのお母さんが立っていた。

「はい」

若干、有史さんは嫌そうだ。

『有史さん!
早く開けてちょうだい』

「はいはい」

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