溺愛社長の2度目の恋
お義母さんに迫られ、彼は渋々玄関を開けた。

「おはようございます、有史さん。
あら、なんであなたがいるの?」

強引に上がり込んできたお義母さんは、私を見て意外そうな顔をした。

「もう離婚なさったんでしょ、さっさとここから出ていってくださらないかしら」

「離婚……」

の危機ではあったが、離婚はしていない。
それにどうして、お義母さんが知っているんだろう?

「母さん。
僕は夏音と離婚なんてしていません」

「嘘おっしゃい。
その方とは離婚したと聞いています。
……ん?
離婚秒読みだったかしら?」

自分の誤解だったのかと、お義母さんが小首を傾げる。

「どっちにしろ、別れるんだから関係ありません。
有史さん、お見合いに行きますよ」

「えっ、離してください、母さん!」

有史さんの手を両手で掴み、お義母さんが引っ張る。
それを彼は思いっきり振り払った。

「わがままは許しません。
だいたい、その方との結婚だって、私の勧めるお嬢さんとの結婚を断るための口実だったんでしょう?」

上目遣いでじっと、お義母さんが有史さんを睨みつける。

「それは……」

事実なだけに有史さんは言い返せないでいた。
というか本当、なんでお義母さんが知っているんだろう?

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