溺愛社長の2度目の恋
わかったけれど、それで有史さんが後を継がなきゃいけなくなるのかはわからない。

「あいだに入った有史が頭を下げる形で、あの土地は檜垣のものになった。
莫大な利益をフイにして土地を譲ってやったんだ、代わりに後を継げ、って話だろうな」

「そんな……」

なんでそんなことで、有史さんの自由を奪わなきゃいけいないんだろう。
私には理解ができない。

「ほんっとに、ごめん。
かといってあの土地を四菱からぶんどったのに、後悔はしてないが」

再び、檜垣さんが頭を下げてくれる。
これだって、彼が悪いわけではない。
悪いのは有史さんの周りだ。

「代わりってわけじゃないけど、これ」

檜垣さんが一通の封筒をテーブルの上に滑らせてくる。
それは四菱地所主催のパーティの招待状だった。

「お前、どうやってこんなもの手に入れてくるんだよ?」

末石専務は驚いているというよりも、呆れ気味だ。

「俺、末石さんと違って顔が広いし?」

「ぬかせ」

檜垣さんが嘯き、末石専務が笑う。
それで、その場が少し和んだ。

「どうする?
話せるかも、天倉さんが来るかも保証はない」

檜垣さんが試すような視線を私に送ってくる。

「……行きます」

その目を強い決意で見つめた。
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