溺愛社長の2度目の恋
一気に飲み干したジョッキをドン!とテーブルに置き、檜垣さんがにやりと笑う。

「なあ、末石さんよ。
あんたもそう、思わないか」

「……確かにな」

末石専務は頷いているが、まさか彼まで乗るとは思わなかった。

「そんなわけで、俺が最高のプランを考えてきた。
次はこれを実行する」

いたずらっ子のように楽しそうに、檜垣さんがプリントされた紙を配ってくれる。
そこには、檜垣さんと私の婚約発表会について書かれていた。



焼き肉に行ってから一週間後。
私は深里さんの仏壇と向き合っていた。
遺影の中で彼女は、幸せそうに笑っている。

「きっと深里さんが助けてくれるから、大丈夫……ですよね?」

問いかけるも、彼女は笑っているばかりで返事はない。
でも、きっと私と有史さんの関係を、怒っているわけではないと思う。

「絶対に有史さんをこの家に連れて帰ってきます。
だから、見守っていてください」

手をあわせて立ち上がり、私は家を出た。
そのまま、以前来たことがある、檜垣さんの経営する高級レストランへ向かう。
今日は、檜垣さんとの婚約披露パーティだ。
といっても、フリだけれど。

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