溺愛社長の2度目の恋
「バカか、お前は!」

へらっと笑って社長が説明した途端、末石専務から特大の雷が落ちた。
おかげで、何事かとスタッフたちが社長室の中をうかがっている。

「そんな理由で結婚するやつがどこにいる!?古海さんにも失礼だろうが!」

「ううっ、そんなに怒らなくたって……」

天倉社長は項垂れてしまったが、末石専務の意見はまっとうなだけに庇えないかな。

「古海は本当に、こんなバカと偽装とは結婚してもいいのか?」

ようやく天倉社長から離れ、専務がこちらを向く。
しかし、社長相手にバカとは。

「納得して決めたことなんで、大丈夫です」

真剣に私を思ってくれている彼に、曖昧に笑って答える。
まさか、尊い純愛を守りたいなんて不純な動機とか、知られるわけにはいかない。

「ほら、古海さんも納得してくれているしさ……。
ひぃっ」

一度は持ち直した天倉社長だが、末石専務にぎろっと眼光鋭く睨まれ、ソファーの隅に小さくなった。

「採用の件は任せておけって、こういう理由だったのか……」

はぁーっと再び、末石専務の口から重いため息が落ちていく。

「そんなに深里を忘れるのは、嫌か」

「嫌だね。
生涯、僕が愛するのは深里だけだよ」

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