溺愛社長の2度目の恋
「なんだ、その目は?
派遣のお前なんか、俺の一声でクビにできるんだぞ」

部長に脅され、彼女は悔しそうに俯いてしまった。

「お前らも、俺の一存でいつでもクビにできるんだからな」

ことの成り行きを見守っていた部内を睨めつけ、部長は自分の席へ着いた。

私のいるインテリアデザイン部では、近頃来た部長のセクハラ、パワハラが横行していた。
別の建築会社を早期退職し、社長の縁故でやってきた彼は、社長の威を笠に着て好き放題やっている。

西田(にしだ)!」

「はい!」

部長に呼ばれ、弾かれるように立ち上がった佳子(よしこ)は、真っ青な顔で部長席へ駆け寄った。

「こんなデザインが認められると思ってるのか?」

これ見よがしに部長が、机の上にデザイン画をバサリと投げ捨てる。
認められるもなにも、部長にデザインの善し悪しはまったくわかっていない。
先方の言いなりだ。
さらに気に入らない人間のデザインにはなにもなくてもケチをつけ、いびった。

「お前、クライアントの要望にも応えられないなんて、会社員に向いてないんじゃないか
さっさと結婚でもして辞めたらどうだ?」

嫌らしくニヤニヤ笑う部長の前で、佳子はうっすらと涙を浮かべ、落ちないように耐えていた。

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