溺愛社長の2度目の恋
「ああでも、お前みたいなブスでデブでクズが、結婚なんかできるわけないか。
すまん、すまん」

わざとらしく声を上げ、部長が高笑いする。

……クズはオマエだろうが。

ボールペンを握りしめる手に力が入り、ミシリと音がした。

「……酷い」

小さくぼそりと、佳子が落とす。

「ああっ
なんか文句でもあるのか?」

けれど部長は片腕をデスクにのせて軽く身を乗り出し、佳子に凄んだ。
次の瞬間、びくりと大きく身体を震わせ、佳子は泣きながら走り去ってしまった。

「お前らも女だから許してもらえるとか甘えるなよ。
まったく、無駄な時間取らせやがって」

これ見よがしに舌打ちをし、部長は椅子に座り直した。
彼がマウスを握ってカチカチしだし、それにともないそれまでしんと静まりかえっていたオフィスがまた、次第にざわめきだす。
私は椅子を立ち、佳子を探しに行った。

当たりをつけた資料室で、佳子はうずくまっていた。

「佳子、大丈夫?」

古海(ふるみ)せんぱーい!」

私の顔を見て立ち上がった佳子は、抱きついて号泣しだした。

「部長の言うことなんて気にすることないよ。
佳子は可愛いから私は大好きだし、仕事だって私なんかよりちゃんとできてるよ」

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