溺愛社長の2度目の恋
一瞬あとに我に返り、大慌てでそれを手に取った。
そこには【婚姻届】と書かれていて、妻の欄以外、すべてすでに埋めてある。
「……あの、偽装結婚のはずですが?」
「そうだね」
しかし、天倉社長は涼しい顔でカップを口に運んだ。
「本当に結婚する必要はないのでは……?」
「戸籍まで調べられるに決まってるだろ。
僕の母はそこまでするんだ」
無言で、婚姻届を睨む。
え、私なんか、早まった決断をした……?
「天倉社長はいいんですか、書類上とはいえ深里さんと別の人間と結婚するんですよ?」
「そうだね、書類上は夏音が僕の妻になる。
でも、僕の心は常に深里と一緒だし、深里以外を妻と認めるつもりはないよ」
冷静に聞けば酷いことを言われているのだが、それよりもそこまでまだ深里さんを想っているのだと、全私が拍手喝采を送っていた。
いやしかし、今は社長の純愛に感動している場合ではないのだ。
「ええーっと……。
いまさらやめる、とか言えないですよね……?」
「もちろん。
来週末、連れていくと母に約束したからね」
「うっ」
さらりと言い、社長がカップをテーブルの上に置く。
……詰んだ、これは詰んだな。
「もうなにもないなら、サインしてくれないかな?」
ペンを手に、社長が迫ってくる。
もうこれは、腹を括るしかないのだ。
私はペンを握り、婚姻届にサインをした。
そこには【婚姻届】と書かれていて、妻の欄以外、すべてすでに埋めてある。
「……あの、偽装結婚のはずですが?」
「そうだね」
しかし、天倉社長は涼しい顔でカップを口に運んだ。
「本当に結婚する必要はないのでは……?」
「戸籍まで調べられるに決まってるだろ。
僕の母はそこまでするんだ」
無言で、婚姻届を睨む。
え、私なんか、早まった決断をした……?
「天倉社長はいいんですか、書類上とはいえ深里さんと別の人間と結婚するんですよ?」
「そうだね、書類上は夏音が僕の妻になる。
でも、僕の心は常に深里と一緒だし、深里以外を妻と認めるつもりはないよ」
冷静に聞けば酷いことを言われているのだが、それよりもそこまでまだ深里さんを想っているのだと、全私が拍手喝采を送っていた。
いやしかし、今は社長の純愛に感動している場合ではないのだ。
「ええーっと……。
いまさらやめる、とか言えないですよね……?」
「もちろん。
来週末、連れていくと母に約束したからね」
「うっ」
さらりと言い、社長がカップをテーブルの上に置く。
……詰んだ、これは詰んだな。
「もうなにもないなら、サインしてくれないかな?」
ペンを手に、社長が迫ってくる。
もうこれは、腹を括るしかないのだ。
私はペンを握り、婚姻届にサインをした。