溺愛社長の2度目の恋
それだけ奥様を大事にしてるのだと、キュンキュンする。

「いえ。
大事な奥様との想い出ですもんね。
なら、当たり前です」

「そう言ってくれると助かるよ」

少し情けなさそうに彼が笑う。
なんだか彼の見てはいけないプライベートな顔を見た気がして、ドキドキした。

「そうだ。
いっそ、夏音の車を買ってもいいかもね。
僕の家、スーパーまで徒歩だとちょっと遠いし」

自分専用の車があるのなら、しかもスーパーまでが遠いとなればありがたいが、私は偽装結婚の妻なのだ。
そこまでしてもらうの必要はない。

「今日ちょっと、ディーラーにも寄ってみようか」

しかし天倉社長はすでに、その気のようだ。

「あの。
車まで買っていただく必要はありませんので。
必要になれば自分で買います」

私の生活費は天倉社長が見てくれるようになっている。
それでなくてもお給料が今までの倍近く増えるのだ。
余裕はありまくりで、新車のローンくらい軽く組める。

「夏音は変わってるね」

「変わってる……?」

ふふっと小さく、社長はおかしそうに笑っているが、意味がわからなくて首が横に倒れた。

「僕が買ってあげるというのを申し訳なさそうに断ってきたのは、深里と夏音くらいだよ」

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