溺愛社長の2度目の恋
こうして私は就職活動を開始したわけだけれど、面接で辞めた理由を話した途端、難色を示された。

「ねえ、それってあなたに非がないといえるの?」

まるで私の責めるかのような面接官が、理解できない。
確かに、感情のままに突っ走り、部長を恫喝するようなことをしてしまったのは悪かったと思っている。
しかも、図らずも彼がカツラだと暴いてしまった。
でも、それもこれも部長が私たちにパワハラ、セクハラを働き、いくら訴えても改善しなかった結果だ。
なのに、全面的に私が悪いように言われるのがわからない。

別の会社でも、似たような反応だった。

「確かにその部長も悪いけど、キレる君も悪いよね?」

「……そう、ですね」

じゃあ、あの場合、どうするのが正解だったのか教えてほしい。
私たちは彼から与えられる屈辱と言葉による暴力に耐えるしかなかったの?
会社はいくら掛け合っても取り合ってくれなかった。
私の一件があってようやく、重い腰を上げたくらいだ。

「……また、ダメか」

家に帰り、スーツのままベッドに倒れ込む。
ああいう会社はきっと、多かれ少なかれ今までいた会社と同じような体質なんだろうから、向こうから落としてくれて不幸中の幸いだ。
それでも、なかなか決まらないダメージは大きかった。



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