溺愛社長の2度目の恋
「えっ、あっ」

今になれば感情に突っ走って言い過ぎだったんじゃないかと反省していたので、褒められると照れる。

「僕もああ言って、深里を庇えばよかったんだよね……」

有史さんは後悔しているようだが、きっと彼のことだから気にしなくていいと奥様には常に言っていたんだろう。

「いや、あれは言い過ぎだったかなって思ってるんで……」

「そう?
でも夏音のあれは正論だったよ」

正論でも言っていいことと悪いことがあるのだ。
母親の事情を知ってしまったあとだと、なおさらド直球ではなくもっとオブラートに包めばよかったと思った。

「それに、僕と結婚したら苦労するって言われたあとの反応がさ……」

また、深里さんと一緒かと思ったものの。

「まさか、周りの差別とか気にしないって、あっけらかんと言うとは思わなかったよ」

思い出しているのか、有史さんはおかしそうに笑っている。

「だって私、そういうところは図太いので」

「そうだね、今日も母に毅然と言い返していたし。
夏音のそういうところ、好きだよ」

この好きは恋愛の好きじゃない。
わかっているのに、心臓がとくんと甘く鼓動した。
ううん、これは男の人からそういうのを言われ慣れていない、私の勘違いだ。

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