溺愛社長の2度目の恋
意味がわからず、首が斜めに傾く。

「そ。
九州にいたんだけど、朝一の飛行機に飛び乗ったってわけ」

コーヒーが入り、カップを彼の前に置いた。
檜垣さんがそれを一口飲む。

「え、わざわざ帰ってきたんですか!?」

「うん。
それくらい、夏音ちゃんにこの感動を伝えたかったんだ」

私と向かい合い、彼が私の両手を取る。

「ありがとう、夏音ちゃん!
もう、俺が思い描いていたとおりだよ!
もしかして俺の頭の中が見えてる?
ってくらい完璧!
ありがとう!」

私の手を掴んだまま、檜垣さんは上下に激しく振った。

「えっ、あっ、こちらこそ、ありがとうございます」

あまりの感動ぶりに、私は面食らってしまったけれど。

「なんかうるさいと思ったら、檜垣が来てたのか」

ちょうど外回りに出ようとしていた有史さんが通りかかり、足を止めた。

「あ、天倉さん!」

私から片手だけを離し、檜垣さんが彼にぶんぶん手を振る。

「もー、夏音ちゃんサイコー。
よくこんな人材、見つけてきたね」

「そりゃどうも」

有史さんは笑っているが、眼鏡の奥から私たちを見つめる目が冷ややかに見えるのは、気のせいだろうか。

「もらったデザイン画、俺のイメージぴったりだったよ。
もー、完璧」

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