溺愛社長の2度目の恋
クライアントの接待くらいに思っていればいいのだ。
いや、それ以外のなんでもない。

サンドイッチの美味しいお店だったので、日替わりのエビとアボカドのサンドにクラムチャウダーのセットを頼んだ。

「なあ、聞いていい?」

「なんでしょう?」

料理が出てくるまでのあいだ、軽い調子で彼が聞いてくる。

「なんで天倉さんと偽装結婚したの?
やっぱり、金目当て?」

あまりにもあっけらかんと尋ねられ、飲んでいた水を噴き出しそうになった。

「えっ……?」

「だって天倉さんとの結婚のメリットって、それくらいしかないだろ?」

酷い言われようだが、確かに母親があれじゃ、客観的に見ればそれしかない……かも。

「えっと。
結婚を採用条件にされた……」

「なにそれ、酷いな!」

全部言い切らないうちに、檜垣さんが被せてくる。

「あ、いえ。
条件には出されたんですが、別に断っても採用はするって有史さんは言ってくれたんです」

「じゃあ結婚なんてする必要なかっただろ?」

檜垣さんの問いはもっともだ。
でも私には私なりの理由があるわけで。
しかしそれを話してもいいのか躊躇われる。

「その。
……絶対に笑わないと約束してくれますか」

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