溺愛社長の2度目の恋
けれど、檜垣さんは聞いても、面白がりはするがバカにはしない感じがした。
だから、話してもいいかという気になってくる。

「約束する、約束する」

彼は軽い感じで頷いて疑わしいが、それでも口を開いた。

「亡くなって八年も経つ奥様を思い続けている有史さんの純愛が、尊いと思ったんですよ。
尊い有史さんの純愛を守るお手伝いができるんなら、いいかなー」

じっと彼が私を見ているのに気づき、急に羞恥で頬が熱を持っていく。

「……って」

おかげで最後は、小さく消えていった。

「……なにそれ、サイコー」

ぼそりと落としたかと思ったら、軽く握った手を口元に当て、顔を逸らして檜垣さんは俯いてしまった。
しかし、その肩が細かく震えていて、笑うのを我慢しているのが丸わかりだ。

「……もー、笑ってくれていいですよ」

熱い顔で水を飲み、目を逸らす。
そのタイミングで頼んだ料理が出てきた。

「あ、いや、ごめん」

少しして笑いが治まったのか、誤魔化すように小さく咳払いし、檜垣さんは座り直した。

「夏音ちゃんらしいっていうか、素敵な理由だなって思って」

「……笑ってたくせに」

上目遣いで、ふてくされて彼を睨む。
檜垣さんが食べ始めたので、私もサンドイッチに手を伸ばした。

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