自己刑罰

-2-
 ゴールデンウィークが明けると、
佳耶達がすぐに話しかけてきた。

 ほら、やっぱり
大丈夫だった…。

 佳耶も、
 鈴も、
 愛美も…、
ああ、みんな言いたい。

 さとみも、
 友利も
 薫も、波香も、静瑠も…、
 美弥子も、理加も、真澄も、
 玲も、雅も、結琳も、真琴も………、
クラスの女子、みんな。

 みんな、みんな、かわるがわるに
私の傍に来てくれた。

 四月の事が嘘のように…。


 ゴールデンウィークに出掛けた事を、楽しげに話してくれる。
私の髪を梳いてくれる。
次の授業の事、
好きな先輩の事、

帰り道も楽しくて、嬉しくて
ただ
ただ嬉しくて、仕方が無かった。


 ある日。
 佳耶が、私の携帯を取り上げた。
「何するの?」
「ちょっと、貸して」
 貸すくらいなら、断る理由が無い。
「うん…。忘れたの?」
「いいから」

 佳耶が、私の携帯を使っている画面をみんなが笑いながら覗き込んでた。
「私も見せてよ」
 私の携帯なのに…。
「駄目よ」
 佳耶が、恐ろしい目で睨んだ。

 それ以上、何も言えなくて、固まってしまった私にカメラを向けた。
「え?」
 カシャン
「どうして、撮ったの?」
「いいからいいから。…理沙が可愛いから」
 佳耶は、そう、ぞんざいに答えた。

 その後も、私の携帯は取り上げられたままだった。

 不安で、ちらちら佳耶の目を覗き込んだけど、それは、すっかり無視され続けた。


 暫くして、覗き込み、みんなで爆笑していた。
「これがいいよね」
「これにしよう」
 何かの相談をしていた。
「こっちの方が良くない?」
「ええ、こっちの方が面白いよ」

 とても、とても、

 佳耶が恐ろしい目で、私を見た。

  そして、

    嬉しそうに笑った。

 

「な…に?」


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