誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
朝ご飯は昨日買った食材で和食にする。

焼き鮭、厚焼き卵に豆腐とワカメと大根の味噌汁。後、アボカドもマヨネーズと醤油を混ぜてサラダを作る。

蓮さんは自炊をしないから、出来るだけ食材を残して行かないように使い切りたい。

そうだ…残ったもので後から日持ちする副菜でも作っておこう。

心菜はそう思い立ち料理に没頭する。

しばらくすると、蓮が運動を終えて帰って来る。
まだ寝ているといけないと思い、そっと玄関に入り靴を脱ぐ。

リビングのドアを開けると、食欲をそそる良い匂いが漂う。
キッチンに目を向けると、心菜がエプロンを付けて料理をしていた。

今日は心菜は休みだと聞いていたから、まだのんびりしていても良い時間帯なのに、意外と早起きなんだなと感心する。

しばらく壁に寄りかかり心菜を観察する事にする。
昨夜は無理をさせ過ぎなかっただろうか?
怖がらせて無いだろうか。

初心の心菜を怖がらせ無いように、かなり気を使いこれ以上に無い我慢を強いられたが、距離を見誤って無ければ大丈夫なはずだ。

少しの心配と不安が頭をよぎる。

そっと背後に近付き優しく抱きしめる。

「おはよう、心菜。」

心菜がビクッと身体を揺らせて驚き顔で振り返る。
「…びっくりしました。いつ帰って来てたんですか?」

昨日と同じ反応が可笑しくて蓮は笑う。
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