誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
「お掃除しに来ますか?」

蓮は首を横に振る。
「心菜だって仕事で忙しいんだ。ハウスキーパーにするつもりはない。」


蓮は思案していた。

今、誘うべきか…
一緒に暮らさないかと言ったら、心菜はどう返事をするだろうか?

まだタイミング的には早いだろうが、こんなにも一緒にいたいと思うのは初めてで、そう思う相手は最初で最後だろうと確信している。

初めて自分から欲しいと求めた人は心菜だけだ。

昔から、プライベートを他人に踏み荒らされるのを嫌い、付き合った女でさえ自宅に招いた事は一度も無かった。

そこまで深入りする付き合いはしてこなかったから、別れる時さえ淡白でまるで他人事の様だった。

そんな、自分が自分でも驚くほどに心菜には執着してしまう。

少しでも会えるのならば毎日会いたい。
声を聞きたい。触れたいと思う。

「心菜…
もし心菜さえ良ければ一緒に住まないか?」
蓮は柄にも無く緊張する。

「一緒に…?私が…?」
首を傾け良く分からないという感じで蓮を見つめる。
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