誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)

「直ぐにとは言わない。
少し考えてみて欲しい。ここだと病院から少し遠いから、なんなら引越しても良いと思っている。」

心菜は驚いた顔で蓮を見る。

そして、少しの間考えて話し出す。

「…私、まだ社会人になったばかりで看護師としてはまだまだなんです。出来ればもっと経験を積みたいし患者様の役に立つ看護師になりたいんです。
蓮さんとずっと一緒にいれたら嬉しいけど…
今の私では蓮さんには釣り合わないから…。
立派な看護師になって、自信を持って蓮さんに釣り合う人になりたいんです。
だから…それまで待って貰えますか?」

…そうだろうな。
心菜の仕事振りを知っているからその意志の強さは感じていた。

まだ、志半ばの彼女の邪魔は出来ない。

ふぅーと蓮は息を吐き頷く。

「分かった。
心菜が一緒に暮らしたいと思うようになるまで待つよ。
だけど、俺はそんなに大した人間じゃ無いし、心菜は今のままで十分だ。」

蓮が何を言おうとも本人の気持ちが動かない限り無理強いは出来ない。

「とりあえずこの家のカードキーは渡しておく。いつ来てもいいし、好きに使ってくれたらいい。
これだけは覚えておいて、俺は心菜の夢に向かって頑張っている姿を見て惹かれた。だから邪魔はしたく無い。
だけど支えにはなりたい。辛い時、疲れた時は必ずここに来て、俺を頼ってくれたら嬉しい。」

心菜は差し出されたカードを見つめ、恐る恐る手を差し出す。

「ありがとうございます。」
ペコリと頭を下げる。

蓮は内心ホッとした。
カギも拒まれたら流石にショックで立ち直れない。
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