誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
あれから、毎日家に帰るのが楽しみになった。

心菜は時間があれば仕事帰りに家に寄って、食事を作り置きしてくれるようになった。

彼女だって忙しいのに、仕事帰りに疲れているだろうと無理はするなと電話で伝えた。

でも、俺が帰る頃には既にいない。

すれ違いの日々が続く。

やはり病院近くに引越すべきか、本気で最近考える。

11月に入り、流石にコート無しでは寒くなって来た。

今は夜の11時。

彼女とは今夜も電話で話しただけだ。
もう10日も会っていない。
 
玄関を上がり、いつも通り冷蔵庫に直行しようとして、違和感に気付き足が止まる。

玄関タタキに戻り足元を見る。

彼女の靴だ。

そう思った瞬間、廊下をバタバタと急ぐ。

薄暗い照明のダイニングのドアを開けると夕飯の良い匂い。
彼女はどこだ?見渡すが見つからない。

ハッとしてソファに近付く。

心菜だ。
横になって眠っている。
寒く無いかと、急いで寝室から布団を持って来てそっと掛ける。

10日振りの心菜だ…。

寝顔を覗き込みしばらく眺める。

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