誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
インスピレーションが湧き上がれば後はその波に乗って、ひたすら没頭して詞を綴る。

心菜から退院時にもらった万年筆を丁寧に箱から出す。

最近は、もっぱらこの万年筆が曲作りの時の必須アイテムとなっている。

書き心地が良く滑らかで、そして何より心菜を感じる事が出来るから、詩がいとも簡単に降りて来る感じがするのだ。

蓮にとって曲よりも先に歌詞が浮かび上がるのは初めての経験だ。

ただ、溢れ出る言葉達を書き綴り後は曲に合わせて削ればいい。そう思い、曲作りに夢中になる。

ふと手を止めて振り返れば、ベッドには心菜の可愛い寝顔があって、これ以上の至福は無いなと感じる。

ものの1時間で作詞が終わり曲を付けていく。
いつもはタブレットのピアノを叩いて作っていくのだが…それでは物足りなさを感じ、リビングに行きピアノを鳴らす。

心菜を起こさないよう、ベッドフォンをしてひたすらピアノに向き合う。
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