誰にも言えない秘密の恋をしました (君にこの唄を捧ぐ)
いつも驚かされるから、今日は私が驚かしてみよ。いたずら心が芽生えて背後からそっと近付く。
「蓮さん、おはよ。」
ぎゅっと広い背中に抱きつく。
「おー!…おはよう…。」
さすがに蓮さんも驚いたようで瞬きを繰り返している。
「…気付かなかった。…良く寝れたか?」
クルッと椅子から向きを変えて抱きしめられる。
ドギマギするのは私の番で…
「ちょっ、ちょっと…蓮さん。」
蓮さんの丁度目線が私の胸元辺りで、顔を胸に埋めてくるから焦ってしまう。
駄目とも嫌とも言えず、どうして良いか分からず固まる。
心拍だけが激しく乱れる。
「嫌なら嫌って言えよ、調子に乗るぞ。」
蓮さんが急に顔を上げるから間近で目線が合う。
わっ!っとびっくりして退こうとするのに、逞しい腕にホールドされて逃げられない。
「…蓮さんだから…嫌、では無いんですけど…ちょっと恥ずかしいと言うか…。」
言いながら目が泳ぐ。
嬉しそうに蓮さんが笑う。