誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
「心菜…心菜。」
気付いたら蓮さんが心配そうに、私を呼ぶ声が聞こえてくる。

そっと目を開けると眩しい世界が…。

「良かった…。」
蓮さんは安堵したように優しく抱きしめ、はぁーと深いため息を吐く。

「ごめんなさい…心配、させましたか…?」
蓮さんの首に腕を回して抱きつく。

ぐるんと景色が回転したと思ったら、蓮さんの胸の上で寝かされた状態で戸惑う。

しかも…2人共、裸…

「れ、蓮さん…あの、重いので…下ろして。」
全裸でこれは…恥ずかし過ぎる。
顔を真っ赤にして離れようとするのに離してくれない。

「心菜が…急に意識を無くすから…怖かった。体、大丈夫か?」

「…大丈夫、です。」
下半身は重いけど…そんなに心配しないで、
と伝えたくて微笑み安心させる。

「風呂、入るか?」

抱き上げようとするから慌てて、
「あっ…蓮さんがお先に入って?」
と、伝える。

それでも不安気な顔を向けて来る。 

「大丈夫ですよ?ちょっと一瞬、寝ちゃっただけだと…どこも痛くないですから。」

痛いとかでは無く、強いて言うなら眠気が突然やって来たと言う感覚だった…。

布団に包み体を隠しながら、蓮さんからそっと離れてベッドの上でちょこんと座る。

「…一緒に入らない?」
子犬の目で誘われるが…そこは断固拒否して首を横にブンブンと振る。

蓮さんはやっと諦めて1人お風呂場に向かう。

ふわーんとした意識の中、気を抜くとまた眠ってしまいそうになる。

「あっ…朝ご飯…作って無い。」
慌てて時計を見ると11時近くを指していた。

大変…蓮さん、午後イチでお仕事だ。

バッと起きて脱がされた服を探して着て、急いでキッチンに向かう。
< 162 / 287 >

この作品をシェア

pagetop