誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)

蓮の思惑

(蓮side)

蓮はまた、逃げられたな…と、天井見ながら苦笑いした。

何度逃げられても、交わされても諦めない。
話し合いが必要ならちゃんと向き合うし、家族に挨拶が必要なら時間を作ってでも会いに行くつもりだ。

それだけ本気だって事を心菜に分かって貰いたい。

若干俺の事、軽い男だって思ってるふしがある事は否めない。
まぁ、芸能界なんかにいるから普通よりも信頼度は低いんだろな。

そう思うと、俄然前向きになるのは俺の良さだろうか…悪さだろうか…?

そう蓮は思いながら、ベッドから起き上がり服を来て身なりを整える。

ああ、そうだ。と思い立ち、紙袋を持って風呂場に向かう。

「心菜。着替えないだろ?これ、買って置いたから気に入ったら着てくれ。」
風呂場に向かってそう声をかける。

「えっ!?あ、ありがとうございます。」
慌てて湯船に潜る音が聞こえる。

心菜は手に取るように分かりやすく反応するから、面白い。
つい、揶揄ってしまうが…。

俺の気持ちは至って本気で、心菜との未来を考えている事だけは分かって欲しい。

最近の俺はやたらと目に付く服を買いたくなる。もちろん自分の物ではなく心菜の物だ。

これ、心菜に似合いそうだとか、着てみて欲しいだとか、移動中の車の中や通りすがりのショーウィンドーで、つい立ち止まり買ってしまう。

暇さえあれば心菜の事を考えているから仕方が無いのだが…。自分でも若干やり過ぎな感は感じている。

どの服を着て出て来るのか密かに楽しみだ。
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