誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
次の日、目覚めた心菜がまず驚いたのは服を着てない事、そして蓮が隣に寝ている事。

今まで泊まった日は数回あるけど、いつも蓮はジムやプールで早朝体を動かすのがルーティンだったから、目覚めた時に隣で寝ていた事なんて一度も無かった。

だからマジマジと見てしまう。

寝顔もカッコいいな…。
お肌もツルツル、何でこんなに綺麗なんだろう?羨ましく思ってしまう。

昨夜は蓮さんのコンサートを見て…
ラーメン食べて…車に乗って…そのまま寝ちゃったんだ。

服、蓮さんがシワシワにならないように脱がせてくれたんだ…そう思うと恥ずかしくなってくる。
何で起きられなかったの私…。

こんなに綺麗な男の人に、自分の全てを曝け出す事が恥ずかしい。

私なんて、忙しさにかまけてお手入れもそこそこのお肌だし、手なんて消毒液でカサカサだ…
何で蓮さんはこんな私なんて大切にしてくれるんだろ?

蓮さんの新曲…私の為に書いたって言ってくれた。私よりも私を評価してくれる人。

あっ、こうしてはいられない。
蓮さんが起きる前にシャワー浴びて、服を着なくちゃ。

慌てて起き上がろうとすると、

背後からぎゅっと抱きしめられて、再び布団の中…。

「ひゃあっ!…蓮さん、起きてたんですか?」

振り返ると蓮が爽やかに微笑む。

「どこ行く?
おはよ。心菜が起きるのを待ってたんだ。」

「お。おはようございます。…寝てるのかと…。
あの…昨夜はごめんなさい。寝てしまって…お話ししたい事、沢山あったのに…。」

「俺も話したい事があるから起きるの待ってた。だけど先に、心菜の話しから聞きたい。」

そう言われると、ちょっとかしこまってしまって話し難いなと、心菜はモジモジしてしまう。

「今日は時間がたっぷりあるから、気長に待つよ。」
蓮は片肘を突いて心菜を見つめる。

「えっと…先にシャワーを、浴びたいです。お化粧落とさずに寝ちゃったし、ちょっとちゃんと整えてから…」

「じゃあ、一緒に入る。」

「イヤイヤ、え、遠慮しときます…ちょっと待ってて下さい。早く出てきますから。」
心菜は慌ててそう言う。

「俺と心菜の間には…まだまだ遠慮ばかりだな。どうすれば一心みたいな関係性を築けるだ?」
蓮がそう言って、心の一部を曝け出す。

「えっ…⁉︎お兄ちゃん?
だって身内、ですから…生まれた時からずっと一緒にいますし…。」

心菜は、蓮が兄を気にする事は無いと言いたい。

「俺はそれでも、羨ましく思ってた。心菜が俺に心を開いてくれるのはいつまでかかる?」
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