誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)
心菜は急いで風呂場に駆け込む。

なのに、下着とか服を持って来てない事に気付いて、ハッとしてドアから顔だけ出して廊下を覗く。

蓮がそれに気付いたのか、部屋から心菜の服一式を持って来てくれた。

「はい、どうぞ。ゆっくり風呂に浸かっておいで。朝食はどっか食べに出よう。」

「あ、ありがとう…ございます。」

洋服を受け取ろうとすると、蓮が不意打ちで口付けをして来るから、心菜は目を丸くして驚く。

「次、敬語で話したら、罰としてキスするから。」
そう言って涼しい顔でダイニングの方に歩いて行ってしまった。

えっ…
心菜はしばらく放心状態で、蓮が消えていったドアを見つめていた。

今日の蓮さんは朝から意地悪だ…と心菜は思い、ざわつく心を落ち着かせようとバスタブに潜る。

昨夜のお礼とか、兄の事とかちゃんと話したかったのに…感極まって泣いてしまった自分がいけないのは重々承知だ。

涙を止めようと、蓮が多少強引だったのも否めない。

大好きだから結局は何されても許してしまう自分がいる。
本当に嫌がる事は絶対しない人だって事も分かっているから怖くは無い。

だけど…今日の蓮さん色気ありすぎ…。

まだまだ恋愛初心者の心菜には荷が重い。

お風呂に入ってやっと気持ちがリセットされた。
< 194 / 287 >

この作品をシェア

pagetop